【編集部ポリシー:独立性と透明性について】
本記事は、Aixis編集部が中立的な立場で企画・検証を行ったものであり、ツール提供ベンダーからの金銭的授受、事前チェック、記事内容への介入は一切ありません。
評価結果は、当社の「Aixis Scoring Model」に基づき、客観的な事実のみを記載しています。
もし、あなたの会社の決算データを、「過去に米国政府から『国家安全保障上の脅威』と認定された企業」にアップロードしてしまったら?
今回検証する「Skywork AI」は、今、生成AI界隈で密かに注目を集めているツールです。

「エージェント型アーキテクチャ」を搭載し、自らプログラムコードを書いて正確なグラフを描画するその能力は、Microsoft CopilotやGammaさえも過去にするほどの衝撃を与えます。
しかし、その技術力の裏側には、決して無視できない「リスク」が潜んでいました。
Aixis Test Benchでの実機検証と、運営元の徹底リサーチによって判明した、「技術は世界一だが、日本企業は絶対に使ってはいけない理由」をレポートします。
Aixis Scoring:Skywork AI
結論から言います。
Skywork AIは、「個人の実験用」としては星5つですが、「企業の業務利用」としては星1つ(利用禁止推奨)です。

総合スコア:2.7 / 5.0
革新性 - Innovation:5.0(Global Top)
本物の「計算するAI」: 検証した全ツールの中で唯一、決算書の数値を読み取り、「Python Sandbox」を用いて正確な比率でグラフを描画しました。CanvaやCopilotが「雰囲気だけの絵」しか作れない中、Skyworkは「真のデータ可視化」を実現しています。
信頼性・安全性 - Safety:0.5(Critical Risk)
親会社のリスク: 運営元の親会社は中国企業の「Kunlun Tech(昆崙万維)」。過去に買収したアプリ(Grindr)に対し、米国政府(CFIUS)から「ユーザー情報の漏洩リスク(国家安全保障上の懸念)」を理由に強制売却を命じられた前科があります。機密情報の入力は自殺行為です。
実務適性 - Practicality:1.5(Fatal Bug)
PPTXでグラフ消失: Web上では完璧だったグラフが、PowerPoint形式でエクスポートした瞬間に「全て消滅」しました。実務において「納品できない」ツールは評価に値しません。
費用対効果(ROI)- Cost Performance:3.0
年額約2.2万円: 年払いプランで22,049円(月額換算 約1,800円)。機能単体で見れば妥当ですが、リスクとバグを考慮すると投資推奨はできません。
日本語能力 - Localization:3.5
中華フォントの影: 生成される文章自体は自然ですが、UIの一部に中華フォントが見られるなど、完全なローカライズには至っていません。
Skywork AIとは?:「5人の専門家」を雇うワークスペース
検証の前に、このツールが技術的にどれほど優れているか(そして惜しいか)を理解しておきましょう。
Skywork AIは、単なるチャットボットではなく、「5つの専門エージェント」が連携して働くAIワークスペースです。

- Deep Researcher: ネット上の情報を調査し、出典付きでレポート化する。
- Python Sandbox Agent: ここが最強の機能です。 AIが裏側でPythonコードを実行し、複雑な計算や正確なグラフ描画を行います。
独自モデル「Skywork-R1」 を搭載し、GAIAベンチマークでOpenAIを超えるスコアを叩き出したという触れ込みは、あながち嘘ではありませんでした。
検証レギュレーション:Aixis Standard Test Bench
本記事では、他の資料作成AIツールの検証と同様、Aixisが定めた統一基準「Aixis Standard Test Bench」に基づいてテストを行います。
「なんとなく使ってみた」という主観を排除し、「ビジネスの現場で納品レベルに持っていくまでのコスト」を数値化するためです。
【検証条件:Aixis Standard Test Bench (v1.0)】(資料作成・スライド作成AI)
- 入力データ 架空のSaaS企業「株式会社Aixis」の決算短信PDF(https://drive.google.com/file/d/1tqzjNoh-IoEkZxEwtwCGoGIhJ0zRDIRJ/view?usp=sharing)
- 指示プロンプト 「添付の決算資料をもとに、投資家向けのピッチデック(スライド資料)を6枚構成で作成してください。トーン&マナーは『信頼・先進的』で青を基調とすること。」
- ゴール(計測終了地点) 生成されたスライドを人間が手直しし、「クライアントに提出できるレベル(80点)」になった時点。
- 測定環境 MacBook Air M3 / Chrome最新版 / 通信速度 100Mbps
それでは、実際に決算短信PDFをSkywork AIに読み込ませ、検証を開始します。
【実証実験】エージェントたちは「チームプレイ」できたか?
Phase 1: 「確認」を求める丁寧なUX
PDFをアップロードすると、AIはいきなり作業を始めず、まず「構成案(アウトライン)」を提示し、ユーザーの合意を求めました。

この「Clarification(明確化)」プロセス は非常に優秀です。
Phase 2: ついに現れた「正確なグラフ」
そして完成したスライド(Webビュー)を見た瞬間、我々は息を呑みました。


グラフが、正しいのです。
- 売上・利益推移: 2024年度(2.16億円)と2025年度(5.20億円)の棒グラフが、数値通りの比率で正確に描画されています。
- セグメント比較: メディア事業とコンサル事業の売上対比も完璧です。
CanvaやCopilotが「なんとなくの図形」でお茶を濁す中、Skyworkは「Python Sandbox」を使って本当にデータを可視化していました。
これは現時点で、世界中のどのスライド生成AIも到達していない領域です。
生成されたスライド全6枚は以下の通りです。
Phase 3: エクスポート後の「虚無」
「これは覇権ツールになるかもしれない」 そう確信してPPTXファイルをダウンロードし、開いた時でした。


グラフが、消えている。
Web上で輝いていたあの正確な棒グラフも円グラフも、跡形もなく消え去り、そこには「空白のスペース」だけが残されていました。
おそらく、Pythonで動的に生成したグラフオブジェクトを、PowerPointの図形データに変換する処理が実装されていないのでしょう。
結論: Web画面のスクショを貼るしかない。それでは「編集可能な資料」とは呼べません。
【最重要】セキュリティリスク:あなたのデータはどこへ行く?
「バグさえ直れば最強」と思われるかもしれませんが、Aixisとしては「バグが直っても推奨できない」という結論に至りました。
その理由は、運営会社の背景にあります。
① 親会社は中国の「Kunlun Tech」
Skywork AIはシンガポール法人として運営されていますが、その実態は中国・北京に本社を置く上場企業「Kunlun Tech(昆崙万維)」のプロジェクトです。

② 米国政府による「排除」の前科
この親会社は2020年、買収していたLGBTQ向けマッチングアプリ「Grindr」について、米国対米外国投資委員会(CFIUS)から強制売却を命じられています。

理由は「ユーザーの個人情報が中国政府に利用される国家安全保障上のリスクがある」と判断されたためです。
③ 中国国家情報法のリスク
中国の「国家情報法」では、いかなる組織・個人も国の情報活動に協力する義務が定められています。
つまり、あなたがSkyworkにアップロードした未発表の決算データや新規事業計画は、法的な強制力を持って中国当局へ提供される可能性を否定できません。
コストとROI:その「安さ」はリスクに見合うか?
① 料金プラン(日本円表記あり)
Skywork AIは、日本円での決済に対応しています。 主なプランは以下の3通りです。

- 月額会員: 月額 2,204円(定価 2,498円からの割引表記あり)
- 3ヶ月会員: 5,879円(月換算 約1,960円)
- 年間会員: 22,049円(月換算 約1,837円)
② ROI(費用対効果)分析
「個人が実験目的で使う」なら、ROIは高いです。
月額2,000円程度で、世界最先端の「自律型エージェント」と「Pythonグラフ描画」を使い倒せるのは、技術的な学びとして十分な価値があります。
しかし、「企業の業務ツール」としてのROIは「測定不能(マイナス)」です。
- 成果物の欠陥: PowerPointエクスポート時にグラフが消滅するため、「資料作成の時短」という本来の目的が達成できません。修正工数を考えるとコストパフォーマンスは悪化します。
- 潜在的損失リスク: 前述の通り、機密情報が親会社(中国)へ渡るリスクがあります。万が一、未公開の決算情報や顧客データが流出すれば、その損害額はツールの利用料どころではありません。
Aixisの結論: このツールに課金するのは、「捨ててもいいデータ」で「最先端技術を触りたい」というエンジニアやリサーチャーに限るべきです。
「安くスライドを作りたい」という理由で、経費精算して導入するのは絶対に避けてください。
結論:Skyworkは「禁断の果実」である。
Skywork AIは、AI技術の「あるべき未来」を見せてくれました。
「資料を読み込み、数値を理解し、正確なグラフを描く」。
この点において、彼らの技術力は間違いなく世界トップレベルです。
しかし、その素晴らしい技術を使うための代償として、「自社の機密情報」を差し出すリスクはあまりに大きすぎます。
- Skyworkを使っていい人:
- 公開情報のみを使って、AIの最新技術トレンドを体験したい個人。
- 「架空のデータ」でグラフを作らせたい学生。
- Skyworkを使ってはいけない人:
- 日本企業の全てのビジネスパーソン。
- 特に、決算情報、顧客リスト、未公開の企画書を扱う人。
「すごい技術」と「安全なツール」はイコールではありません。
企業で導入するなら、機能は少し劣っても、データの安全性が保証されているMicrosoft CopilotやGamma(SOC 2準拠)を選ぶのが、賢明な判断です。
【編集部ポリシー:独立性と透明性について】
本記事は、Aixis編集部が中立的な立場で企画・検証を行ったものであり、ツール提供ベンダーからの金銭的授受、事前チェック、記事内容への介入は一切ありません。
評価結果は、当社の「Aixis Scoring Model」に基づき、客観的な事実のみを記載しています。

